刑事事件の被疑者は、逮捕により3日間(72時間)の身体拘束を受けます。
犯罪を犯したと疑う理由(嫌疑)があれば全員が身体拘束を受けるわけではなく、身体拘束を受けずに捜査が進められることもあります(いわゆる「在宅捜査」)。
この逮捕期間中、被疑者が希望すれば、弁護士と接見をすることが可能です(当番弁護士制度)。
弁護士との接見は秘密接見と言われ、捜査関係者の立ち合いはなく、被疑者と弁護士だけで話をすることが可能です。
その後、罪証隠滅や逃亡の恐れがあれば、さらに原則10日間、延長すれば20日間の身体拘束を受ける可能性があります(これを勾留と言います。)。
そのため、被疑者にとって、勾留請求がされるか、また、それが認容されるかはとても大きな違いとなります。
しかしながら、検察官が勾留の請求をした場合、裁判所はそれに理由があるかを判断しますが、勾留請求が却下される可能性は4.1%(令和4年版「犯罪白書」、令和3年のデータ)と極めて低くなっています。
弁護人の活動としては、まず検察官に勾留請求をしないよう意見を述べます。
検察官による勾留請求後は、東京地裁では原則として勾留請求の翌日に裁判官が被疑者と面会し、勾留請求に理由があるかを判断します(勾留質問といいます。)。
弁護人は、勾留請求がなされた場合、同日または翌日の午前11時頃までには、裁判官に対し、勾留請求に対する意見書を提出し、また、事案によっては裁判官と面談(現在は電話での面談となっています)をし、意見を述べます。
意見を説得的にするためには、被疑者と接見をし、よく話を聞く、親族から話を聞き誓約書などを書いてもらう、医師と面談し意見書を書いてもらうなどの対応が必要となりますが、これらを1両日中に行う必要があるのです。
以上のため、とにかく弁護人には時間がありませんから、勾留請求の判断にあたって、特に裁判官に重視してもらいたい事項に関する資料作りを優先して行うなど、強弱を付けた弁護活動が重要となります。